首頁 / ファンタジー / 悪魔祓い(デビルブレイカー) / 第8話 神級魔導士と悪魔祓い③

分享

第8話 神級魔導士と悪魔祓い③

作者: アイさん
last update publish date: 2025-12-19 11:53:49

血だらけの悪魔に対してカイルは1つも攻撃を喰らっていないため、無傷だった。

そして、悪魔はあることを思い出した。

「お…思い出したぞ!お前は、イフリークの守護神だな?」

「……」

カイルは返事を返すことなく、コクっと頷いた。

「まさか、神級魔導師が相手とは。だが、このPDO(プロジェクト・デビル・オペレーター)の俺が負けるなどありえない!」

そしてPDOは地面に手を置くと周りに地割れが起こった。

カイルとミーナはあまりの揺れに体制を崩しそうになった。

「お前の魔法は影だ!その影を無くしてやればお前は何もでき…」

すると悪魔の背後から別の影が発生した。

そしてその影から一本の細長い棘がPDOの体を貫いた。

「グハァッ!こっ、これは初級魔法だと?」

地割れがやむとカイルは再び領域を作った。

今度の領域は直径30m程あり、離れていたPDOもその圏内に入ってしまった。

カイルは2つの長剣をクロスに振るとPDOの体はクロス状に切り傷が入った。

「俺はあいにく、影の魔法は全て扱えるんでね。お前のその子供が使いそうな地属性魔法は何の妨げにもならねーんだよ。」

「くっ…そぉ…ふざけやがって!」

悪魔は紫色の塊を目の前に発生させた。

しかも、今度は今まで出してきた中でも最大級の大きさで直径50mほどあった。

「仕方がねえ、先にこの町を破壊してやる。そしたら俺も死ぬがお前らは確実に死ぬぜ!」

そしてPDOはその巨大な紫色の塊を手で押すと遥か上空に打ち上げた。

上空で直径100kmくらいまで広がるとそのまま地上に落ちてきた。

「まずいぞ!あれをこの国が受けたら本当に全員死んでしまうぞ!」

騎士達や町の人々は上空にある塊を見て混乱していた。

しかし、カイルだけは落ち着いていた。

そして呪文を唱え始めた。

「表裏に通づる闇の門よ、神に赴け!」

するとカイルの影の領域が更に黒さと範囲を増し、そこから巨大な影の手が発生した。

その影の手は紫色の塊を掴むと一緒に影の世界へ引きずり込んだ。

影によって魔力の塊は消えてしまい、騎士達は驚いていた。

「すごい…あのでっかい魔力の塊を消してしまった!」

「あぁ、あの人のあの魔法はいったいどうなってるんだ?知ってるか?」

1人の騎士が質問すると隣にいた騎士が説明した。

「俺が聞いた話だと、俺たちが使う魔法は普通魔力を消費して魔法を発動するというのは基本だ。だが、団長の魔力は消費する事はなく、今みたいに膨大な魔力を使っても息一つ切らさない。」

「えっ!?消費せずに魔法使えるのか!?」

「それが影の神級魔法の特徴らしい。あの影があるが故に団長は歴代最強の騎士団団長と謳われているんだ。そこらの悪魔や悪魔祓いじゃまず団長を倒す事は無理だろう。」

その騎士が言う通り、カイルの身体は無傷で疲れている様子はなかった。

一方PDOはさっきの魔力を放ったせいもあり、既に瀕死状態だった。

「どうした。もう終わりか?」

「ぐっ…ここまで力の差があったのか…」

PDOは膝を着き、悔しさで地面を叩いてた。

「そろそろケリをつけてやる。ミーナさん、俺の部下達の方に行きなさい。」

「え、出ても大丈夫なの?」

「少しだけなら大丈夫だ。すぐに済ませるから。」

カイルがそう言うとミーナは騎士達の所へ移動した。

再びPDOの方へ目線を変えると影がカイルの剣を黒く変色させた。

「さあ、次でお前を一発で仕留めてやるよ。覚悟しろ。」

そう言ってカイルはPDOの近くまで歩み寄った。

「これでおわー」

その瞬間、カイルの視界が一瞬で暗くなった。

「なっ!なんだ…目の前が見えないぞ!」

カイルはいつの間にか真っ暗な空間に立っていて目の前にはPDOがいなかった。

「ここはいったい…どこだ!あの悪魔はどこ行った!」

いくら叫んでも自分の声が返ってくるだけだった。

この謎の空間を作ったのはPDOだった。

この空間は外から見ると黒い球体の形をしていて、カイルはそこに閉じ込められていたのだ。

カイルを閉じ込めたPDOはニヤリと笑い、ミーナと騎士達がいる方向を向いた。

「ふふふ…俺が人間ごときにやられるわけねーだろ?これでお前らは確実に死ぬ。」

PDOはさっきよりも魔力を上げるとあたり一面に衝撃が発生し、ヒビの入った周りの建物が更に崩れていった。

「なんて魔力だ!…それよりも団長だ!団長をどうやって閉じ込めたんだ!」

さっきまで優勢だったカイルがあっけなく閉じ込められたのには理由があった。

その理由はとても単純だった。

「簡単な事だ。真っ暗闇で影が出せると思うか?常識的に考えたら一発でわかるだろ?馬鹿め。こいつは影に頼りすぎたようだな。」

するとPDOはカイルが入った黒い球体を空中に浮かばせた。

そして黒い球体の周りから黒雲が発生し、黒い球体を輪っか状に囲んだ。

「消えろ!イカズチと共に!」

そして黒雲から青白い雷が発生し、黒い球体を襲った。

球体の中にいるカイルはその雷によって悲鳴をあげていた。

「ガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

「あははは!!この球体に魔法を与える事で中にいるこいつはその魔法を食らう事になるんだよ!」

「だ、団長!!!!…おのれ!許さないぞ!!」

騎士達はPDOの雷魔法を止めようとPDOに斬りかかるがPDOは軽く息を吹きかけただけで竜巻が起こり、騎士達は飛ばされていく。

「おいおい、いーのかよ?こいつあと5分もすれば死んでしまうぞ?…っいて!」

後ろから石をぶつけられたPDO。

その投げた人物はミーナだった。

「おい、お嬢ちゃん。死にたいのか?」

顔は笑っているが目は本気で殺す気でいるPDO。

しかし、そんな目に対してミーナは言った。

「あなた達って、どうして人間をこうまでして苦しめるの?」

「は?」

「あなた達悪魔は、どうして罪のない人たちをここまでして苦しめるのかって聞いてるのよ!」

そしてそれと同時に持っていた石をPDOに投げた。

しかし、その投げた瞬間にミーナの目の前に移動し腕を振り上げたところで止めた。

「そんなもん…人間を殺して食う!人間は俺たちからすれば食料に過ぎないからだ!だからてめえも俺ら悪魔に食い殺されろ!!」

そして腕を振り下ろそうとした。

しかし、その瞬間。ミーナの体の周りから強烈な光が発生した。

その光で一瞬目がくらんだPDO。振り下ろそうとした手で目を押さえた。

「なんだ…今の光は?」

PDOは光が消えてもミーナに変化は見られず、不思議に思った。

何が起こったかも気づいていないミーナは構わずに口を開いた。

「あなた達悪魔のせいで…親友だった人、親だった人、学校の仲間、みんなそれぞれの関係があってそれぞれ楽しい生活があるのよ!そんな大切な存在を壊すあなた達を、私は許さない!」

ミーナが言い終えると悪魔は顔に血管を浮かばせながらミーナに歩み寄り。

「はぁ?大切な存在だと?俺たち悪魔はなぁ、その大切な存在をぶっ壊すだけで最高に欲求が満たされるんだよ!何が楽しい生活だ!人間は俺たちの腹を満たせればそれで良いんだよ!」

そして再び腕を振り上げると、ミーナの顔にめがけて一気に振り下ろそうとした。

ゴキッ…

その場に一瞬鈍い音が鳴った。

それはミーナから聞こえた音ではなく、PDOから聞こえた音だった。

「グァァァァアアア!!!!腕ガァァァァ!!」

PDOはどういう訳か、腕が逆方向に捻れた状態になっていた。

「グァ…ァァ…貴様!一体何をした!」

「何もしてないわ!自分で腕をそこまで持ってったんでしょ?」

「違う!確かに当たった…当たったはずだ!」

PDOが言うように腕は確かにミーナに当たっていたのだ。

しかし、2人とも気づいていなかったがこの時にすでにある出来事が起こっていた。

それは無意識に発動したミーナのバリヤーの様なものがPDOの腕に当たった途端反射し、その反射の威力が強すぎた為腕が後ろ向きに360°捻れてしまったのだった。

「まさか、この女が魔法を使えるとは…だが、これは何の魔法だ…衝撃系の魔法では俺の腕をここまでは…」

「それは、こいつの中に眠ってる魔力が特別だからだ。」

すると突然何処からか声が聞こえてきた。

「だ、誰だ!今の声はー」

その瞬間、捻れた腕が地面に落ちた。

あまりの速さに痛みがなかったPDO。しかし、次の瞬間強烈な痛みが襲った。

「ぐっ…グァァァァアアア!!!!」

「え、何!?何が起こってるのよ!」

ミーナも何が起こったのか分からず、混乱していたが次の瞬間ハッと気づいた。

「もしかして…この感じは…。」

PDOの背後に空間の裂け目が発生し、その中から黒いローブを身に纏った赤髪の男が現れた。

「グレン!!」

「何っ!まさか紅の悪魔祓いか!」

PDOは思い出した。こいつが今回の目的である事を。

「随分と派手に暴れてたみたいだな。悪魔…いや、悪魔の実験体。PDO(プロジェクト・デビル・オペレーター)」

「プロジェクト・おぺれーた?」

「なぜ俺の事を…」

その瞬間、PDOの体が一瞬で切り刻まれそしてカイルが閉じ込められている黒い球体まで破壊された。

「ばっ、馬鹿な!たった一瞬で…」

「お前、隙だらけだな。こんなのが本当に悪魔が改造したやつなのか?おい、ミーナ。あの黒い球体に入ってた男を助け出せ。こいつは俺がやる!」

そう言ってグレンは黒い炎を体に纏った。

「黒い…炎だと?」

「そうだ。これはお前らを狩る為の炎だ。」

そう言ってグレンは拳に炎を纏い、PDOの顔面に拳を入れた。

拳が顔に衝突すると小さな魔法陣が魔法陣が発動し、炎の威力が上がるとPDOは勢い良く燃えながら吹っ飛んだ。

「アアアア!!!あぢい!あぢいよぉ!!」

暑さと痛さでのたうちまわるPDO。そんな事は御構い無しにグレンは魔法を唱えた。

「地獄に燃える黒炎、燃やし尽くせ!」

そう唱えるとPDOの体に燃えている黒炎が更に炎圧を増し、勢い良く燃えた。

「グァァァァアアア!!!…これが、悪魔殺しの炎か…なるほど、この炎のせいで他の悪魔どもはやられるのか。」

するとPDOは魔法で体に燃えてる黒炎を体内に取り込んだ。

「なんだ…俺の炎を取り込みやがった!」

「はぁ、はぁ、…俺を誰だと思ってる。改造悪魔のPDO、ベガ様だ!今の炎を取り込んだことで俺の体は炎に耐性ができた。お前の炎はもはや何の役にも…」

シュシュンッーーーッ

光の速さでベガを切り刻み、切り刻んだあとグレンは回し蹴りでベガを吹っ飛ばした。

「がはぁっ!馬鹿な!今のは炎じゃ…」

「今のは光属性の最上級魔法だ。そしてこれが雷の最上級だ!」

するとグレンの指先から一筋の雷がベガの体を貫通させた。

「そんな…馬鹿な…人間が複数の属性を…」

そしてそのまま、ベガの息が絶えた。

「意外とあっけなかったな…PDO。注意する必要は無かったみたいだな、リフェル。」

グレンはリフェルと呼ぶと、体の中にいる悪魔がそれに返事した。

(いや、どうだかね。まだ油断は出来ねえぞ。)

その声に気付いたミーナがリフェルに声をかけた。

「え?今の声はもしかしてこの前の…」

(よぉ、久しぶりだな。)

グレンはリフェルとミーナが会話をしている事に驚いたのか自分の胸に向かって言った。

「おい、お前まさかあいつと対話したのか?」

(ああ?別にいーだろが。どっちにしろこいつとは一緒に旅する仲間じゃねーか?)

「どの口が言ってやがる。人間を玩具とか言ってる奴がそんな事思うわけないだろ。」

(あっ、バレたか。あはははは!!)

まるで独り言の様に見えるが明らかにグレンとは違う存在と喋っているとミーナは分かっている。

しかし、この光景を初めて見る者は不思議でしかなかった。

さっきまで気絶していたカイルは場の状況を理解しようとしていた。

「これは…あの悪魔がやられている?…ん?…あの子の目の前にいるのはもしかして噂の…だが、何を独りで言ってるんだ?」

グレンの中にいる悪魔に気づいていないカイルは不思議そうに見るしかなかった。

カイルが目を覚ました事に気付いたミーナはカイルに声をかけた。

「あ、カイル君目を覚ましたみたいだね。」

「あいつが、騎士団の団長。イフリークの守護神か。」

グレンはカイルを見た瞬間、そいつが団長だという事を直感だけで判断した。

「そういう君は12騎士長が言ってた紅の悪魔祓いか。見る限りかなり出来そうだね。」

そう言ってカイルは両手に持っている剣を握りしめた。

「前からちょっと君の力を試したかったんだぁ…いいよね?」

「えぇ!?急に戦うの!それは流石にちょっとやめたほうが…」

カイルは戦う気満々の目でグレンを見つめ、それを止めようとするミーナ。

しかし、グレンはそれに対して。

「それは、俺に対して喧嘩をふっかけてると受け取っていいのか?」

「どう捉えても構わないです。ただ、悪魔祓いと呼ばれる君の実力を知りたいだけですよ。」

「…いいだろう。お前のその自信は魔力で大体分かる。受けて立とー」

承諾した瞬間、2人の剣が衝突し金属音が辺りに響き渡った。

その金属音と同時に2人の魔力がぶつかる事で爆風が発生した。

在 APP 繼續免費閱讀本書
掃碼下載 APP

最新章節

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第53話 東北魔導大戦 終結②

    ライクとニケルは城の裏側にある人気の無い場所へと移動した。 後ろから尾行していたロゼアは壁に隠れながら、ライクとニケルが話をしているのを覗き込んでいた。 …側から見れば只のストーカーにしか見えない。 壁の向こうではライクから先に声を掛けていた。 「で?どうしたんだよ。さっきも、お前一言も喋らなかったし。」 先程の会話でも、ニケルは浮かない顔をしながらグレンやグロードの話を聞いていた。 その理由は。 「…僕達とグロードさんの関係って、これからどうなるのかなと思って。」 「グロードとの関係?」 何を言ってるのか分からないライクだが、ニケルはそのまま説明を続けた。 「大恩あるグロードさんの事を、僕はずっと亡くした父親の様に思ってた。本当の父親じゃ無い事は分かってる。だけど、まるで親子みたいな今の関係性が僕は好きだったんだ。」 「けど、生き別れた本当の息子であるグレンが戻って来たら、もうそんな関係には戻れないのかなって…。」 ニケルの悩み。それは本当の息子であるグレンが戻ってきた以上、自分達はグロードの息子の代わりにはなれないという事である。 また今までの関係性も変わってしまい、もうグロードに相手にされないのでは無いかという不安もあった。 「勿論、グレンと再会出来た事は僕も嬉しいけど。…やっぱり良いな。本当の親が生きてるのって。」 月の民殲滅戦で両親を亡くしてるライクとニケル。特にニケルは子供の頃は甘えん坊であった為、親への未練はライクよりも強い。 親の居ない2人にとってグロードは父親同然。しかし、本当の父親になる事は出来ない。 そう思うとニケルは、少し寂しく感じていた。 それに対してライクは。 「ニケル…お前の言う様に、あいつは俺達の父親じゃねえし、俺達があいつの息子代わりになる事も出来ねえ。」 「……」 「でもよぉ、俺達とグロードとの関係性は何も変わらないと思うぜ。」 「…え?」 落ち込み俯いてたニケルはライクの顔を見た。 「俺もあいつの事は父親みたいに思ってたけど、どっちかと言えば師匠に近い感じだな。それに、あいつは面倒見が良くて、いつも丁寧に俺達の修行に付き合ってくれた。」 「優しい奴だからさ、例え息子が居ようと俺達との師弟関係まで変わる事はねえよ。」 「ライク…

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第53話 東北魔導大戦 終結

    魔導兵器ラウスを倒した事と、北の軍事兵器もグロードが破壊した事により、北の大国が今後攻撃してくる事は無いだろう。北の大国は多くの軍人と軍事兵器を失った事により、いずれ国の財政が崩れ破綻に追い込まれる事となる。戦う力を失った北の大国ウンディーネは結果的に敗戦国となり、これにより東北魔導大戦は事実上終結する事になる。しかし東の大国も無傷という訳にはいかず、今回の魔導兵器ラウスとの戦闘によって沢山の死傷者が出ていた。それだけではない。東の大国の主戦力が戦っている間、手薄になった城内にて更なる事件が起こってしまう。ノーム王の暗殺。戦いが終わった後、城内へ行くとそこは戦場と同じくらい凄惨な状況となっていた。医療班の人も殆どが殺されており、警備の者達に関しては、肉体が残っていれば運が良かったと思えるくらいバラバラに殺されていた。一体誰が実行したのかは不明。しかし、こんな事をするのは1人しか居ないとグロードは気付いていた。「…ベリエル!」見たところ胸部を刺殺(しさつ)されて殺されている様に見えるが、医療知識が豊富なグロードはノーム王の身体を少し触れただけで他の殺害方法で殺されたのだと判断する。「…内臓が全て潰されている。まるで身体の中をかき混ぜられたかの様に……許せない。」あまりにも残酷な殺し方をされている為、グロードは沸々と怒りを覚えた。この場には他にグレン、ミーナ、エミル、ライク、ニケル、フィナ、ネル、そして八握剣(やつかのつるぎ)のギンジが居た。カイルとロゼアとアルバスは意識を取り戻したが、戦いで受けたダメージが大きく、今は休んでいる。他の八握剣(やつかのつるぎ)も同様に、命に別状は無いが大掛かりな治療が必要な状態である為、カイル達同様にこの場には居なかった。ノーム王が殺されている姿を見て先に悲しんだのは、当然八握剣(やつかのつるぎ)のリーダーであるギンジであった。「ノーム王…くっ…何で、こんな事に!」ギンジは両手を握りしめ、悔しさと悲しみで顔を横に向きながら涙を流していた。王の懐刀である八握剣。そのリーダーともあろう者が他のメンバーを救えず、更には王の命さえも守る事が出来ず、ノコノコと生き残ってしまった。ーー俺のせいで…役立たずにも程がある!しかし、それに対してミーナが。「ギンジさん。自分のせいだなんて思わないで下さい。皆んな

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第52話 兄と弟④

    そして更に4年後。ラウスは18歳になり、ルーファスは9歳となる。ラウスは高校3年の学年となり、全ての成績において優秀な成績を収めていた。幼い頃から教えられた事は殆ど完璧にこなすその姿を見て、いつしかラウスは神童と呼ばれ将来を期待される様になる。しかし、ラウスは魔法を仕事にする道は選ばずそのまま農作業を営み続ける道を選んだ。当然教師はラウスを説得するもキッパリと断った。自分の将来の夢よりも、ルーファスの側にずっと居る事の方が大事だったからである。こうして学生の頃はそれなりに有名だったラウスは、突如として公の場から姿を消したのだ。一方、ルーファスもラウス同様に成績が良かった。ラウスが合間を縫って勉強を教えているのもあるが、どうやらルーファスも少し教えればすぐ覚える事が出来るのだろう。「(流石は俺の弟だな。)」勉強を見ていたラウスは心の中でルーファスを誉めていた。ある日、ルーファスはこの家に元々住んでいた老夫婦の写真が飾ってある仏壇を見て質問してきた。「兄さん。この人達って、僕達とはどういう関係なの?」あの頃、まだ赤ん坊だったルーファスはこの家に元々住んでいた老夫婦の存在を知らない。「この人達はね、俺達の親みたいな人だよ。本当の親じゃ無いけど、親のいない俺達の面倒を見てくれた人だ。」亡くなった老夫婦の事をラウスは自分の親だと思っており、ラウスにとっては生きていく術を教えてくれた恩師でもあった。「そーなんだ。…じゃあ、僕達の本当のお父さんとお母さんは?」1番聞かれたく無い質問をルーファスは悪気なく聞いてくる。当然である。ルーファスは親の事を何も知らない為、本当の親が気になるのは当然の事。…そっか、あの時お婆ちゃんはこんな気持ちだったんだ。そりゃ、言いたく無いよね。ラウスはルーファスに聞かれた事により、あの時のお婆ちゃんの気持ちが少し分かった。あの時から親の事はあまり思い出さない様に生きてきたラウス。正直、あまり親の事を聞かれても何て言ったら良いのか分からなかった。只、ラウス自身が抱いてる気持ちとして言った。「…ロクでも無い人達だよ。父親は俺と母親を置いて出て行き、残された母親も親の責任を放棄して出て行った。」まだ子供に言うべき事では無いのだろうが、ついつい自分の感情任せに言ってしまったラウス。「そうなんだ。…でも僕、少し会

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第52話 兄と弟③

    お母さん…何で帰って来ないんだよぉ…。俺1人でどうしたら良いの?どれだけ待っても帰って来ない母親のヒスイ。既に半日以上待っていたのだが帰って来る気配が無い。ラウス自身、半日以上何も食べていない為、空腹が限界を通り越していた。「おぎゃー!!」泣き叫ぶ弟のルーファス。生後3ヶ月の赤ん坊。お腹も空くし、オムツもしてるから替えてあげないといけない。その他にも、身体を清潔にしないといけない。…どうすれば…。ラウスは寝室で泣いているルーファスの所へ行き、様子を見た。「おぎゃー!おぎゃー!」「凄く泣いてる…こんな時、お母さんどうしてたっけ?」ラウスは普段、母親がどうやってルーファスの世話をしていたのか思い出していた。そしてヒスイが何をしていたのか思い出したラウス。「…まずは、オムツかご飯か。どっちかだけど…嫌だなぁ、オムツの匂いを嗅ぐのは…」それでも我慢してオムツの匂いを嗅ぐラウス。「…多分こっちじゃ無いか。じゃあミルク作らないと。」ラウスは台所にルーファス用のミルクが保管されている所を覚えていた為、そこに行ってミルク粉と哺乳瓶を取り出す。「えっと…先にお湯を温めるんだっけ?」初めての事でどうすれば良いか分からないラウス。しかし、取り扱い説明書があったので、それを見ながら何とか作って哺乳瓶に入れる事が出来た。「よし!後は水で冷まして…よし!」人肌まで冷まし、ラウスはそれをルーファスに飲ませる為、ベッドから起こした。「おーよしよし!ミルクだよ〜。」ヒスイが言ってた様に真似しながら、ルーファスにミルクを飲ませてあげるラウス。ルーファスは勢いよくミルクを飲んでおり、よっぽどお腹が空いていたのが見て分かる。半日、何も食べなければ大人でもお腹が空くに決まってる。「俺も何か食べないと…。」そう言ってラウスは戸棚にある非常食を取り出し、空腹を埋める為にそれらをお腹に詰め込んだ。見たところ、非常食やミルクの量から数日は持つだろうと判断した。しかし、この食料が無くなったらどうしようかと。ラウスはそれが恐怖で堪らなかった。「どうすれば…後、お金だけど。お母さんの貯金でどれだけ過ごせるのか…。」勝手にお金を使う事に抵抗感があるも、生きる為には仕方ないとヒスイが管理してる通帳を確認する。子供では見た事の無い数字に驚くラウスであったが、実際の

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第52話 兄と弟②

    真っ暗な暗闇の中。1人の女性が下を向きながら何かを覗き込んで泣いていた。「…ラウス……ルーファス……どうして、こんな事に…。」その女性はヒスイであった。ここは死後の世界であり、この暗闇の空間は死後の世界へ行く前の道。死後の狭間である。ヒスイは死後の世界へは行かず、死後の狭間にある暗闇の空間で家族を見守りながら待ち続けていたのだ。そして現世を見ながら自身の息子達が戦う姿を見て涙を流していた。すると後ろから。「…2人が戦っているのか?」その声の主はヒスイの父親であり、グレンに龍技の真髄を教えた竜の民のドグマであった。後ろからドグマに言われたヒスイは、涙を流しながら振り返る。「…お父さん。」「ヒスイ。…お前も辛いのは分かるが、今の俺達には見守る事しか出来ない。」そしてヒスイの隣に座り、現世で戦うグレン(ルーファス)とラウス。2人の戦いを覗き込む。「信じるしか無い。グレン…いや、ルーファスの事を。そして、あいつの強さを。…きっとあいつが兄を救ってくれる筈だ。」ヒスイはグレン(ルーファス)が生後3ヶ月の時にこの世を去った。ドグマもヒスイが家を出てから、自分に孫が居る事も知らずに30年間虚しく過ごしてきた。しかし、その孫であるグレン(ルーファス)は偶然にもヒスイの父であるドグマと出会い、龍技の真髄を教えてくれた。運命が知らない内に引き合わせてくれたのだ。そして今、ドグマに教えられた龍技の真髄によりグレンは、魔導兵器となり殺戮の呪縛に囚われた兄ラウスを救う為に戦っている。自分の弟子であり、孫でもあるグレンをドグマは信じていた。「(グレン。お前の生き様を、今こそ見せてくれ。)」ドグマの墓前で言ったグレンの誓いに対し、心の中で返答した。信じる事しか出来ないヒスイとドグマは、ラウスとルーファスの行く末が少しでも救われる様に、両手を合わせて祈る。あの世でヒスイとドグマが見守る中、現世ではグレンとラウスの死闘が繰り広げられている。戮力体竜変(りくりょくたいりゅうへん)によって竜人化したグレンは先程とは違い、身体機能が大幅に強化される。自然魔力を体内に取り込む戮力体竜変。それにより身体に現れた竜の鱗は鋼をも上回る強度を誇る。その拳でラウスの胸部を殴る。バコォォォン!!!グレンの拳により、ラウスの硬い胸部は拳大の大きさに凹んだ。グレ

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第52話 兄と弟

    ミーナ達はネルの空間移動でカイルやエミルの救出に向かっていた。エミルはアルバスとロゼアを氷で作った台車に乗せて運んでいたが、その途中で見つけられる。意識を失っていたアルバスとロゼアはミーナの光の回復魔法によって意識を取り戻した。「あれ、ここは…。」目を覚ましたロゼアはゆっくりと目を開ける。「お、気が付いたか!大丈夫か!?」視界に入ってきたライクは心配そうに声を掛け、その声で徐々に意識がハッキリしてきたロゼア。「え…何で…?ライク?」「ああ。俺達は丁度さっき戻ってきた所だ。大丈夫か?」「…心配、してくれてるの?」今まで北の大国では心配される事の無かったロゼア。半分信じられないといった感じでライクに聞いた。「ああ。お前も俺達の代わりに戦ってくれてたんだろ?俺達が不在の中、良くやってくれたぜ。本当に感謝してる!」ライクは笑顔でロゼアに言うと、ロゼアは嬉しさで左目からジワッと涙が溢れてきた。ライクの笑顔を見れて良かったと、安心していたのだ。ネルも同様に、目を覚ましたアルバスに一言声を掛ける。「…僕との約束、ちゃんと守ってくれたね。」「…ごめん。倒す事は出来なかった。」「仕方ない。後はあの男(グレン)に任せよう。」短い会話ではあるものの、ネルは約束を守って戦ってくれたアルバスに感謝した。そして次はカイルの所にも空間移動した。転移した場所でカイルはボロボロの状態で倒れていた。ミーナとニケル。2人の回復魔法を使ってようやく意識を取り戻したカイル。普段タフなカイルであるが、意識を取り戻してもその声はか細く弱々しかった。「…みんな…帰ってたのか?…」「カイル君!エミル、カイル君が目を覚ました!」意識が戻った事を確認したミーナは慌ててエミルを呼んだ。エミルも慌てながらカイルの顔に近づいた。「カイル!」「エミル…良かった…無事だったのか…。」「馬鹿!いつもいつも!自分の事を後回しにして!本当に馬鹿!」ボロボロと涙を流しながらカイルに対して言うエミル。それに対してカイルは一言。「…ごめんな。」そうエミルに言うと、エミルは更に号泣しながらカイルの胸元で泣きじゃくった。「カイル君。連絡してくれてありがとう。今ね、グレンが戦いに行ってるの。」「グレン…そうか。なら、安心だな。」そう言うとカイルは安心した様に目を閉じて眠った

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第8話 神級魔導士と悪魔祓い④

    「うわぁぁ!もう2人ともなんでこんなに強いのよぉ!」 この2人の衝突に巻き込まれたくないミーナは建物の陰に避難した。 2人は剣を交じり合わせながらお互いを褒めた。 「俺の双剣を直で受け止めた人はもしかしたら君が初めてかもしれないね。」 「お前も、俺の剣を受け止めるとは中々だな。」 「それは光栄だね。じゃあこれはどうかな?」 カイルは一旦グレンから離れると横一直線に2つの剣を振った。 するとグレンのそばにあった建物が斬れて上からぐずれ落ちてきた。 その建物の残骸を刀で真っ二つにし、再びカイルに近づこうとした。 「俺がこんなヤワな攻撃でダメージを与えれるわけない

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第8話 神級魔導士と悪魔祓い②

    魔力を貯めていた悪魔の手が突然刃物で斬られたように落ちた。 「なにっ?」 すると今度は周囲にいた悪魔達がバタバタと倒れていき、悪魔の心臓部分には深い切り傷があった。 「まさかっ、俺以外の悪魔がほとんど全滅だと!?」 騎士達はいきなりの悪魔の全滅に戸惑ったがそれが誰の仕業かすぐに分かった。 「これは、もしかして…」 「ああ、間違いない。この魔力は、この魔力は我ら騎士団最年少で最強の方、団長 だ!」 この国の団長は歴代初の10代の団長だが他の国ではこういう噂を聞く。 イフリークの騎士団団長の実力はは数で表すと国の騎士5000人の強さに等しく、 戦場では自分は無傷

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第8話 神級魔導士と悪魔祓い

    南地区 黒いヒビ割れの悪魔が言った通り、この地区にも悪魔がいた。 その中でも黒いスーツを着たスマートな体型の悪魔は騎士団の攻撃を喰らっても倒れることはなく、街を容赦なく破壊していく。 「くそっ!もっと魔砲弾を撃てー!」 「だめです!もう弾が残り少ない!」 「くそっ!こんな時に12騎士長の1から9長は他の国に出張とは…エバルフとカレンはまだ戻ってこないのか!?」 「それが…未だに連絡が取れません!」 「くそっ!仕方がない!俺がやってやる!」 先陣を切って前に出たのはエバルフとカレンと同じ称号を持つ男。 11騎士長(イレブン・ナイツ) サージス・デルモンテ

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第9話 カイルの過去

    グレンの魔力が溜まるまであと2分をきったがカイルにしてみたらこの時間は非常に長く感じた。 腕の筋肉が痙攣しすぎて既に感覚が無くなっていた。 「あともう少しだけ持ち堪えろ、騎士団の団長。あと少しでこの悪夢を終わらせてやるよ。」 「たの…むっ!」 しかし、黒い根っこは時間が経つに連れて再生するスピードを上げてくる為どんどん追い込まれていくのだった。 だめだ…追いつかない! そう思った時、カイルの頭の中で声が聞こえた。 「あんたって、すぐ諦めるよね。なっさけないなー!」 その声は綺麗な声であるが口が悪く少し男勝りな感じがした。 そして頭の中でその声の主を連想させた

更多章節
探索並免費閱讀 優質小說
GoodNovel APP 免費暢讀海量優秀小說,下載喜歡的書籍,隨時隨地閱讀。
在 APP 免費閱讀書籍
掃碼在 APP 閱讀
DMCA.com Protection Status